アルバムを見ていた娘が「ここ、どこなの?」と聞いてきたのは、昨年8月まで私たち家族が住んでいた借家でした。「古いおうちだよ。新しいおうちができる前に、住んでいた家だよ」と教えても、きょとんとしています。
旧宅の思い出:生後7ヶ月ごろ。スカートを作ってみたの図。
「おぼえてないの?」と聞くと「おぼえてない」と言います。
さらに、散歩がてら旧宅の前を通ってみたのですが、完全スルーでした。
旧宅に住んでいたのは、娘が生後1ヶ月~24ヶ月までの約2年間です。毎日、その借家の前に車を停めて、「ただいまー」と言っていたのに・・・まったくなにも覚えていないとは、驚きました。
旧宅の思い出:同じく生後7か月ごろ。ギタレレがお気に入りの図。
夫が「そうか、記憶がまだ始まっていないってことか」と言いました。
たしかに。私の最初の記憶も、幼馴染が帰っていく後姿で、3歳半くらいのことです。それより前の記憶もいくつかあるけど、夢というか、明らかに現実の景色ではないものです。
新しい家に引っ越すとき、娘が「前のおうちに帰りたい」と言いだしたらどうしよう。と、夫と私はひそかに、けれどかなり大きく恐れていました。そして、現在まで一度も「前のおうち」のことを言わずに過ごしてきました。けっきょく、娘は一度も古いおうちに帰りたいとは言わず、旧宅は完全に記憶から消えていったようです。
旧宅の思い出:1歳半ごろ。猫バス=ちゅーすけと思っていたの図。
近所のおうちにカメがいたことや、引越前に小さな庭で花火をやったことや、ハイハイしていたことは「おぼえてる」と言うのですが・・・2歳児の頭の中で家という大きなモノが消えてしまったというのは、なんだか、とっても不思議です。すこしだけ、胸がチリリとしました。