次女とピアノ・エピソード3

連弾が苦手です。

「じょうずにできました。では、先生が伴奏をしますね。さっきと同じように弾いてね」と先生。

「だめ!ひとりでひきたいんです」と次女。

「えー、おねがいします。いっしょに弾かせてください」と先生。

「しょうがないなぁ。じゃあ1回だけ」と次女。

わがままなのかな~と思っていたのですが、マネするのが得意な次女にとって、すぐ隣にマネしちゃいけない動きがあるのは苦手なようで、すぐにつられてしまい、ちょっとしたパニックになってしまうようでした。

それでも、繰り返すうちに慣れるもので、いまでは「先生が弾く楽譜」と「こどもがひく楽譜」が並んでいること、自分はまだ先生のところはやらなくていいことは、理解しているようです。

次女とピアノ・エピソード2

先生がピアノで「ド」の音を弾きました。

「この音は?」と先生。

次女は元気いっぱいに、飛び跳ねながら、

「ど!」と言いました。

先生がピアノで「レ」の音を弾きました。

「この音は?」と先生。

次女は元気いっぱいに、飛び跳ねながら、

「な!」と言いました。

「・・・。レだね~?」と先生。

「な~べ~な~べ~そ~こぬけ~の『な』じゃないの?」

「なべなべは、レードーレードー、だからね~」

「そっか!れ!」

いまでもまだときどき、「レ」を「な」と言ってしまいます。

次女とピアノ・エピソード1

初めての体験教室でのことです。

先生が楽譜を見ながら「ドレミレドレミ」などと歌っていると、
次女は途中から「ドレミレドレミ」と、先生の声にかぶせて一緒に歌いはじめました。

「えっ?楽譜読めるの?」と先生。
「うん!」と次女。

「おかあさん、もしかして家で教えてます?この子、音符読めるみたい」と先生。
「いえ、そんなはずは・・・楽譜を見るのも初めてのはず・・・」と私。

次女の様子を見ていると、

楽譜と鍵盤と先生の口を同時に見ながら、
声が出てくるタイミングに合わせて歌ってました。

簡単に言うと、ものっすごく空気を読んで、一歩先に声を出している。

それはそれで、なかなかすごい能力だと思ったのです。

むしろ、占い師に向いてるかもしれない?

次女とピアノ

次女4歳、年少組。

12月から、ピアノを習い始めました。

ヤマハの音楽教室では、グループレッスンと個人レッスンがあり、料金はグループでも個人でもそれほど大差はないよう(個人のほうが少しは高いけど、倍ちがうというほどでもない。ただしグループレッスンが1回50~60分、個人レッスンが1回30分という違いはあるので、倍といえば倍とも言える値段設定)です。また個人レッスンは、むずかしい曲が弾けるようになるほど、レッスン料が上がっていく仕組みです。

ママ友に話を聞いたら、
「ちっちゃいうちはグループもいいんですよね。ヤマハの幼児クラスって、プログラムがかなり良くって。音楽だけってわけじゃなく、いろんなことやるから、いろいろ発達にもいいと思う。」と言っていました。

おぉ、そうなんだ。

かなり心惹かれつつ、次女は個人レッスンに通っています。

理由は、「ドレスを着て、舞台に出たいから」。

次女は、発表会なら堂々とみんなの前でドレスを着られるという理由でピアノを始めたのでありまして、グループで舞台に立つのではなく、ひとりで舞台に立ちたい、キラッキラの髪飾りをつけて、ぶわっと広がったドレスを着て舞台を歩きたいのでありまして、目的を果たすためには個人で!というわけなのです。

ピアノをはじめたばかりのころは、楽譜どころかひらがなも少ししか読めず、(「ど」「れ」「み」と書いても読めない)、音符を書こうにも筆圧が弱く、点線をなぞることもむずかしく、小さい丸を書くこともできなかった(ある意味、親が放任しすぎだった)次女ですが、この3ヶ月のあいだ毎日ピアノの練習をし、音符を書く練習もしたので、運筆や絵も上手になりました。ひらがなも全部読めるようになりました。

たった3ヶ月ですが、子供の成長って早いなーと感心しきりです。

習い始めたころのエピソード、忘れないうちに書き残しておきたいと思います。

(つづく)

芥川龍之介『魔術』『トロッコ』

小学3年生の作文問題で、「あなたの前に魔法使いが現れました。ひつだけ願いをかなえてくれると言っています。なにを願いますか?」という課題がありました。

長女は「『願いはかなえてくれなくていいから、わたしに魔法を教えてください』と頼みます。願いはひとつじゃたりないし、自分が魔法使いになったら、すきなだけ願いをかなえられるからです。」と書いていて、苦笑してしまいました。

そんな長女に、芥川龍之介の『魔術』を読んでほしくて、この本を買いました。


杜子春・トロッコ・魔術 講談社青い鳥文庫/芥川龍之介

『魔術』は、インド人の青年から魔法を教えてもらう男の話です。ただし、欲を出してしまうと魔法は消えてしまう、という条件があります。自分が金持ちになりたいような人は魔法が使えないわけです。

男は「けっして欲を出さないから」と頼み込んで、魔術を教えてもらうのですが・・・。

芥川龍之介が『魔術』を発表したのは、1919年だそうです。ちょうど100年前ですね。100年たっても色あせない、スタイリッシュでハイカラな文体に、震えます。

『蜘蛛の糸』『杜子春』など、有名な作品がそろったこの本の中で、わたしが一番気に入ったのは、『トロッコ』でした。

子どものころに読んだはずなのですがすっかり忘れていて、「あれ?だれか死ぬんだっけ?」「ん?死なないでクリアしちゃった?どうなるんだっけ?」と、どきどきしながら読みました。

夕暮れ、知らない場所を歩く少年の心細さが自分の子供時代に重なり、何十年も前に見た夕日の色を思いだしてせつなくなります。

粋で、清潔で、上品で、残酷さやエロとは遠い作風。しかも、男前。子どものころから「芥川龍之介はかっこいいなぁ」と思っていました。

21世紀になった今でも、そして彼より年上になってしまった今でも、やっぱり芥川龍之介って、かっこいいなーって思うのでした。