また、最近読んだ本。
表紙が、いつまでも見ていたいような、すごくいい写真です。
おかっぱの女の子は、3歳になる直前の長女に似ています。おなかがちょっと出ているところとか、髪がゆるく内巻きになっているところとか。いやほんとにうちの子なんじゃ?と思えるほどです。
小説の中に、幼い女の子はでてこないんですけど、そのギャップがかえっていろいろ考えさせられます。
登場人物の男の子は、小学校入学前の、6歳。幼稚園に通っています。ジャングルジムから友達を突き落したと疑われ、そのおともだちがケガをしたため、幼稚園の先生や友達のお母さんから責められ、怒られ、ひとり「ぼく、やってない」とがんばっています。
長女と同じ年の子どもなので、すごーく感情移入してしまって、母親がどういうふうに立ち回るのか、事件がどんなふうに解決するのか、本を持つ手に力が入りました。ちいさな社会の中での出来事でも、当人にとっては世界まるごととおなじくらい大事件です。母親が「ぼく、やったって言ったほうがいい?」と聞かれるところなど、私は完全に自分に重ねて「どうしよう、どうしよう、私ならどうするかな、あぁ」と思いながら読みました。
この小説の本当の主題は、↑の男の子には、ほんとうは、産んでくれたお母さんが別にいて、自宅に「子どもを返してほしい」という電話がかかってくる……という話なのですけど、私としては、そんなビックリ設定よりも、よくありそうな子ども同士のトラブルのほうがよほど学ぶところが多いように感じるのでした。
全体としては、設定に無理を感じる部分も多い小説でしたけれども、産んだ子を手放さなくてはいけなかった若い女の子の心理はよく描けていて、泣けました。読了後、子どもたちを追いかけてぎゅーっしました。