家作りを結婚にたとえると、
初恋の相手は一条工務店でした。
住宅展示場はすこし暗めでしたが、とても立派で、
娘がソファーで昼寝してしまったくらい快適でした。
断熱性は、業界一位だというし、
全館床暖房なのも、とても魅力的でした。
営業さんはやさしげにほほえみながら、私の話を「わかります」「わかります」と聞いてくれました。私はもうすっかり気に入って、一条で建てる気まんまんでした。
展示場が豪華すぎるのが少し気になりましたが、注文住宅なのですから、きっと自分たちの希望に沿うシンプルで高性能な家が建つと信じ、夢がどんどんふくらんでいきました。
ひとつだけ残念だったのは、営業さんが忙しすぎたことです。電話で打ち合わせの希望を伝えても、「その日は予定が入っている」と言われ、なかなか話を進めることができませんでした。
もどかしさを感じていた矢先に、あの地震が起きました。
2011年3月11日は金曜日で、翌週の3月19日土曜日に、一条で建てた平屋を見せてもらう約束をしていました。なかなかスケジュールが取れない営業さんの予定をやっと確保できた日でした。
しかし、3月18日になっても一度も連絡がなく、こちらから電話をしても出ず、折り返しもかかってきませんでした。
家の性能についてものすごく好感を持っていただけに、一条をあきらめるのはとても残念でした。けれど、営業さんに相手にされないのではどうにもなりません。けっきょく、私たちはその翌週、ミサワホームと契約しました。あの非常時に「だいじょうぶでしたか?」と電話をくれたのは、ミサワホームの営業さんだけだったのです。
今でも、私と夫は、一条工務店で建てた家が気になります。
一条から送られてくるハガキが、いつも「明日内覧会します」みたいなギリギリのスケジュールなのを見ると、「やっぱり、だらしないのかも・・・契約しなくてよかった」と思ったり、知り合いの一条オーナーさんが「一条でよかった」と言えば「うん、そうだよね。一条の家はいいだろうね。」と思ったりもします。