2021年の夏が終わる頃、17歳だったテトの目は、いよいよ見えなくなってしまい、ちょっとした段差も超えられなくなり、トイレを失敗する回数も日に日に増え、その後、まったくトイレが汚れなくなりました。そのかわり、テトがいる場所にはペットシーツを敷き詰める必要がありました。買ったばかりの猫ベッドがびっしょりになったこともありました。淡々とゴミ袋につめ、同じ猫ベッドを買いました。
そして2021年11月30日、トイレ掃除が不要になってから2ヶ月ほどたった夜のこと、テトは玄関の蓄暖前で寝ていて、「ニャーン、ニャーン、ニャーン」と3回鳴き、久しぶりにテトの声を聞いたな、と思ったら、それが最期になりました。小学6年生だった長女は、泣いて、泣いて、もうどうにかなるんじゃないかというくらい、声を上げて、それはもう悲鳴を上げて、泣きました。
片づけをしていたら、ずっと掃除していなかった猫トイレから、1かたまりだけ、小さな排泄物が出てきて、目がじわんとなりました。いつ、したんだろう。いつ。かわいくて、いじらしくて、胸がギュッとなりました。
もうしばらく、ペットは飼わないだろうな。
「どうしても飼わなくては」って時が来るまでは。
そう思っていたのに、今年の正月、友人から「猫、もらう気ない?」って連絡があったのです。
友人はケアマネジャーをしているのですが、「高齢の利用者宅に猫が5匹いて、いつ施設に入るかわからないから猫の引き取り手を探している」というのでした。
わたしは「3匹までなら、うちで引き取るよ。今じゃなくていいので。いよいよ、その方が施設に入るときでいいので。」と言いました。
そんないきさつで、現在。
わが家には、わたしたち家族にまったく慣れていない、家族の誰もさわれない、さわろうとすると「シャーッ」とか「フーッ」とか言う猫が1匹だけおりまして、がっちゃん・ちゅーすけ・テトのいたころとは全く違う「猫と暮らす」ライフを送っております。
さわれないのは本当に残念で困ったことなのです。爪を切ることもできないし、獣医さんにつれていけない(受け取って最初に1回つれて行っただけ)から、避妊手術もできないし、発情はしょっちゅう来るし、なにより、さわりたいのにさわれないストレスときたら!!
ただ、トイレは猫トイレでするし、水もごはんも皿に入れておけば勝手に飲むし食べるので、「飼っている」とは言えないような距離感でも、1日、1日、なんとか暮らしています。
こんな猫でも、長女(中学生になりました)は「かわいいねぇ、かわいいねぇ、世界一かわいいねぇ。」と幸せそう。次女(現在小2)は「なつく猫がよかったのにぃ!」と文句を言っています。